2025/05/21
矢野興業interview【後編】 「建設ディレクター」奮闘中!


『株式会社矢野興業(宮崎市)』は、令和4年に「建設ディレクター」という新しい職域を追加し、女性の積極的な採用・配置を推し進めています。
【建設ディレクターとは】
ITとコミュニケーションスキルで現場を支援する新しい職域。
今回は、総務部の黒木さんと、同社はじめての建設ディレクターの一人である房安 琴恵さんに導入の経緯と業務内容についてお話を聞きました。

(写真左から)
●土木部 建設ディレクター 房安 琴恵さん
●総務部 課長 黒木 恵美さん
建設ディレクターの役割。
― 建設ディレクター導入の目的を教えていただけますか?
黒木さん:以前から問題視されていた技術者および事務員の負担軽減に加え、ICT活用の推進による生産性の向上が主な目的です。
また、女性の雇用・活躍推進に係る取り組みの一環でもあります。
― どのような業務を担当されていますか?
房安さん:施工計画書や施工体制台帳等の工事書類作成、ドローンやレーザー等を使った測量やその補助、モデリングソフトを使った3D設計データの作成、写真管理など、現場補助とICT関連業務を主に担当しています。
また、これまで総務部が担っていた従業員のCPDS(継続学習制度)資格証の管理、その他書類管理・整理などの業務も一部任されています。

未経験からの挑戦。毎日が勉強!
― 房安さんはどのような経緯で矢野興業の建設ディレクターに?
房安さん:以前は地元・福岡県でWebデザイナーとして働いていましたが、結婚を機に夫の故郷である宮崎へIターンすることになりました。矢野興業に就職するまでいくつか別の仕事を経験したのですが、工業高校出身ということもあり、今一度“ものづくり”に挑戦してみたいと思ったのが建設業に踏み入れたきっかけでした。
その中でも、矢野興業は女性が活躍できる働きやすい会社だと聞いて心惹かれ、令和4年に「現場事務」として入社しました。

― 入社当時は建設業自体、未経験だったのですね。
房安さん:はい。「建設ディレクター」という言葉を知らないどころか、右も左もわからない状態でした。
まずは土木建設業そのものに対する理解を深めるべく、上司や先輩にご指導いただいたり、わからないことはインターネットで調べたりして勉強しました。実際に現場にも同行し、2〜3週間張り付いて一連の流れを学んだこともあります。
翌年には『一般社団法人 建設ディレクター協会』の育成講座をリモート受講し、資格を取得。それから半年後には自分で「建設ディレクターができること」をリスト化し、土木部の部長に提出しました。

黒木さん:現場技術者も、最初はこの新しい職域をどう扱えば良いか、何を任せたら良いのか、まったくわからない状態でしたので、房安さんが作成したリストをもとに導入を進めてくことになりました。
まず手始めに発注者に提出する書類の作成から業務を移管し、それ以降は建設ディレクターの主体性に任せてどんどん動いていってもらいました。
― ご自身で業務内容を整理されたんですね。
まったく初めての業界、入社2年足らずでそこまでされるなんてすごいです。
房安さん:いえ、まだまだ理解できていないことも多いです(笑)。
業務は日によって変わる部分も大きいですし、何よりやはり現場技術者の知識がないと刃が立たない業務もあるので、ずっと学び続けているような感覚です。

房安さん:例えば3次元設計データは「縦断図/横断図」と呼ばれる二次元平面図を元に作成するのですが、これも技術者として一定の知識がないと本来理解するのが難しいものですので、今のところ教えていただきながら作業している状態ですね。
― 勉強を続けるモチベーションは、どんなところにありますか?
房安さん:苦労して作り上げた設計データが現場に貢献し、さらに関わった現場が完成したのを見ると、達成感ややりがいを感じますね。
また、仕事を振っていただけた時は、自分を頼りにしていただいている感覚がありうれしくなります。
さらなる活躍を目指して。
今後さらに現場への理解を深めるとともに、業務範囲を拡大するため、施工管理技士の資格取得を目指しているという房安さん。
現在、同社の建設ディレクターは3名。技術者の負担軽減や生産性向上に貢献するのはもちろん、建設業で自分の能力を最大限発揮したいと考える女性の活躍機会を創出する職種として、今後さらに注目が集まりそうです。


【この記事を書いた人】
- 所属:県土整備部管理課
- 名前:山田
- 一言:アイドルのコンサートが生きがい。
土木の魅力をはじめ、たくさんの情報を皆様にお伝えしていきます!