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女性×建設業

もっと女性が輝くステージに けんせつ小町のリアルトーク

「けんせつ小町」とは、建設業で働くすべての女性の愛称。
“男性社会”といわれてきた建設業界も大きく変わり、すでに多くの女性が手腕を振るっています。彼女たちが一層輝くステージにしていくためにはどうすればよいのでしょう。
まだ建設業に足を踏み入れて間もない2人の女性と「県建設業協会・女性の会」を牽引するベテランの2人に、リアルな実体験と“未来”について語っていただきました。

女性目線から、建設業の“リアル”をお話しします!
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Q1.今の仕事を始めた当時の思い出や、建設業への印象は?

田中さん

建設業ってなんとなく、厳しい人が多いイメージじゃないですか? でも実際には、皆さんすごく優しいんです。気難しい方も…まぁ、いないことはないですが(笑)やっぱり良い方ですし、コミュニケーションをとることで仲良くなれるから、全然問題なかったです!

松谷さん

私は、男性が多い職場なのに良い意味で“女の子扱い”されなかったことを意外に感じましたね。すごく腕力が必要な作業などの際は配慮していただけるのですが、それ以外は基本的に平等に分担しています。ですから、女性だからといって孤立するということもなく、居心地が良いです。あえて特別扱いしないでいてくれる同僚や上司の皆さんに感謝ですね。

松岡さん

建設業は一つの案件の受注金額が大きいので、緊張感もひとしおに感じたのを覚えています。工事には電気や水道などさまざまな業者が関わるため、一緒にお仕事をする方の名前を覚えたり、コミュニケーションを取ったりすることも大変でした。でも、もともと実家の家業として建築業に長年触れてきた私は、携われること自体が楽しく、早々に馴染めていた気がします。

宮島さん

結婚を機に飛び込んだ建設業。独身の頃はまったく違う業種・職種で仕事をしていたものですから、まったく一からのスタートでした。当時、女性としては大変珍しかった危険物取扱者や土木・建設施工管理技士などの資格を取得するため、業務と勉強を両立する日々。資格がないと現場に関わる実務が何もこなせないですから、とにかく必死で、不安を感じるヒマもないほどでした。

Q2.お仕事でやりがいを感じるところは?

松谷さん

私自身は電気工事士になって間もないので、仕事を覚えていく段階なんですが…。初めのうちは先輩のそばに付いて、「〇〇を準備して。掃除して」など、指示を受けながら動いていました。でもだんだん手が慣れてくると任されることも増え、「お願いね」と言われただけで必要な材料や工具がすぐにわかったり、自分自身の発想で工夫したりして仕事が上達していく実感があり、面白みとやりがいを感じています。

田中さん

私も入社してまだ1年。いろんな現場を回る中で、新しいことを次々と覚えていく過程が楽しいと感じるので、松谷さんの気持ちがわかります!

宮島さん

仕事が自分自身の実になるのは何よりうれしいことですよね。
しかも、土木も建築も、自分の仕事の成果が日ごと目に見える形になっていきますから、それもやりがいにつながるのではないでしょうか。

松岡さん

そうですよね。やはり何といっても、“人の手”がそれを作り上げているわけじゃないですか。日々完成に向かっていく様子は、見るたびにときめきを感じますし、いつ見てもワクワクします。

田中さん

私はまだまだ現場経験が少ないのですが、最初から最後まで携わった仕事が完成した時、「あぁ、頑張ったな~」としみじみ思います。

宮島さん

積み上げてきた仕事が形になって、しかもそれが長い間残り、たくさんの人の目に触れるわけです。うちの従業員も、「これ、わたしがつくったんだよ!」と、知り合いや家族に話すそうです。何年前の仕事だろうと、ずっと誇れる。これって素晴らしいことだと思いませんか。

Q3.建設業で女性の力が活きる場面とは?

松岡さん

自社で建築を担う物件に関して社内で企画会議を行う際、男性の意見と女性の意見はやっぱり違うなぁと感じます。経験上、男性の方が安定感のあるスタンダードな選択をしがちで、女性の方が冒険心のある提案することが多いんです。普段からSNS・雑誌などで情報収集をしていることもありトレンドには非常に敏感です。例えば導線・使い勝手・配色など、さまざまな場面で斬新な意見も出てきます。
女性の意見は、料理でいう調味料やスパイスのように、質の向上に欠かせないもの。男性の感覚だけに頼るのではなく、女性のセンスを入れ込んでいけば、双方にとってよいものが出来上がるのではないかなと思います。

宮島さん

公共工事は、施工状況や品質を評価する点数がつけられるものなのですが、女性が作成した書類は評価が高いと聞きますね。緻密な作業を得意としていて、細かいことにもよく気が付く女性は、そういった作業でも大きく貢献するようです。

田中さん

なるほど! 現場で散らかっている道具を片付けるのがなぜ私の役目になっているのか、今のお話でわかった気がします(笑)。

松谷さん

よく考えてはみたのですが…「女性ならではの力があるからこそ」という場面が、私は思いつかなくて。今までに経験した現場では、性別の隔たりなく、それぞれが自分の特性を生かして活躍できていたと思います。

宮島さん

それはそれで、とても素敵なことだと思いますよ。

Q4.女性だからこその苦労や不便は?

松谷さん

一概に“女性だから”というわけでもないのですが…。一般的な男性より身長が低いので、高所の作業が難しいですね。電気工事は脚立に乗って作業することが多いので、身長が低いほど、大きな脚立を使わなくてはいけなくて。当然、大きくなるほど重くなるので、運ぶのに一苦労です。ちなみに私は今、主に7尺(約2m10㎝)の脚立を使っています。
工具に関しても握力がないと扱いづらいものが多いので、日々の業務でおのずと力がついていきそうです(笑)。一方で、電動式の工具も増えてきてはいるので、先輩方は「昔より楽になった」とおっしゃいますね。

田中さん

トイレがない現場は不便を感じることが多いですね。
道路の一時工事など、短期の現場には事務所や仮設トイレが設置されない場合があるんです。長期の現場では当たり前に据えられるものなのですが…。そんな時は、最寄りトイレまで車を走らせたり、我慢したりしなくてはならず大変です。
さらに、雨天時に作業着が濡れてしまい、着替えたくても女子更衣室がないので社用車の中で…なんてことも過去にありました。

松岡さん

男性の着替えならあまり場所を選ばないかもしれないけど、女性は困りますよね。
車の中じゃ、間違えて誰かが入ってくるかもしれないから不安ではないですか?

田中さん

そうですね。あらかじめ周囲に「着替えるから覗かないでね!」ってつよく念押しするんですけど(笑)。でも、私の性格ならこんな風に言えるけど、内気な方だったら一体どうするだろうなとは思います。

宮島さん

建設現場の女性トイレについては、ずっと課題とされていること。仮設トイレは設置されていたとしても、男女共用であったり、サニタリーボックスがなかったりすることが珍しくないのです。今ではずいぶん配慮されるようになってきましたけど、これからも引き続き改善に向けた取り組みが必要ですね。

Q5.これからの建設業界に期待することは?

松岡さん

建設業って、女性にとって制約が多くて、自由がきかないイメージが強いと思うんです。
確かに、私の子どもが小さかった頃は残業も普通でしたから、子育ても家族のサポートありき。でも今は、就業時間内で作業完了できるよう無理のない工程を組んだり、完全週休二日制に向けて取り組んだりといったことが当たり前になりました。さらにうちの会社では、生理痛などで体がきつい場合は気兼ねなく休暇をとれるような体制を整えていたりもします。
これからも、「建設業は男性の仕事」という先入観を打ち消し、女性たちの憧れの職業にすることを目標に活動を続け、おしゃれも、子育ても、プライベートとの両立も、なんでも自分のしたいことができると思える業種に、私たちが変えていきたいと思いますね。

田中さん

いろんな不便や大変さはありますが、現場によって労働環境が左右されるのはある程度は仕方のないこと。私は、現状で満足しています! ただ、改善してもらえるところがあれば、徐々に変わっていけばいいなあとは思います。

松谷さん

私のような職種は、力もいるし、先ほど別の回答でお話したように身体的に不利だからこそ苦労する場面もあります。正直に言ってしまうと、すべての女性が働きやすいといえる業種ではないと思うんですよ。でもだからこそ、そういう環境でも仕事を楽しめる人、自分のやりたいことに熱中して取り組める人が増えたらいいなと思います。環境が変わることももちろん大事ですが、「自分はできる!」と思って成長していく力が、働く側にも必要ですよね。

宮島さん

高校で出前授業をした際、女子生徒に「おしゃれはどこまでできるんですか?」と質問を受けたことがあるんです。「どんな現場にしたって、女の子たちは自分らしくおしゃれしたい」のだと再認識しました。ですので、高校生たちの「こんな作業着を着てみたい」という理想を形にしたファッションショー(2018年)を開催するなど、女性が楽しく働ける環境づくりや新しいイメージの発信に努めてきました。新型コロナ感染症の影響で「女性の会」の活動がここ数年制限されてしまい、次の展開に踏み出せないのがもどかしいですが…。
加えて、さっき話に挙がったトイレや更衣室などの課題を解決することも、やはり経営側の責任として第一にあると思います。
ここ数十年の変わりようを見れば、まだまだ良くなっていくはず!建設業界はいま、上り坂の最中なのです。

未来の建設業に携わる皆さんへのひとことメッセージ